紫外線とは英語では『Ultraviolet Ray』となり、よく夏場に『UV』と言う略語で耳にする事が多いのでは無いでしょうか?
可視光線は400-700nmほどであり、それよりも短い1-380nmほどの波長なので目に見る事は出来ません。
しかしながら波長が短いので高い光子(フォトン)エネルギーを持っています。
紫外線はその中で、更に下記に分類されます。
・極短紫外線(Extreme UV) 1- 10nm
・遠紫外線(Deep UV) 10-200nm
・近紫外線(Near UV) 200-380nm
200nm以下のとても短い波長は、空気中の酸素や窒素などに吸収されてしまう為、光学実験では真空にして行わなければならないので『真空紫外線(Vacuum UV)』とも呼ばれます。
更に近紫外線の中でも下記に分けられます。
・A紫外線(UV-A) 320-380nm
・B紫外線(UV-B) 280-320nm
・C紫外線(UV-C) 200-280nm
太陽の高さやオゾン層の変化により、紫外線は地表までに届く量が変化します。
波長が短い紫外線はオゾン層で吸収されてしまいますが、290nm以上のA紫外線(約99%)とB紫外線の一部(約1%)は地表まで届いています。
1日の中では昼前後の10~14時の間に、1日の半分以上の紫外線が届いています。
夏に日焼けをする人が多いので、夏が一番紫外線が多いと思っている人が多いのですが、実はそうでは無いのです。
実は1年の中では5月をピークに、前後の4~6月は紫外線が最も多く地表に降り注いでいるのです!
ゴールデンウィーク前後の天気の良い日はアウトドアで遊んだ時に日焼けをするなどで実感があるかとは思いますが、6月は梅雨の季節で雨がちなので気づき辛いかもしれません。
A紫外線などは波長が長目なので雲も通過してしまうので、実は曇りの日でも日焼けをしてしまいます。
日陰に逃げたとしても、反射や散乱光で50%ほどの紫外線を浴びてしまう可能性があります。
波長が短ければ短いほど光子エネルギーは強く、モノに対する吸収度合いが高く、良い意味でも悪い意味でも強い『効果』を発揮します。
私達の実生活に関わる、身の回りでの紫外線の働きを説明していきましょう。
紫外線の効果は良い面と悪い面があるのがわかるかと思います。
★殺菌効果
C紫外線は殺菌効果に着目され活用されています。
C紫外線は紫外線の中でも波長が短く、光子エネルギーが強いので『殺菌光線』とも呼ばれています。
太陽光からはオゾン層でほぼ吸収されているので地表には届いていません。
紫外線ランプなどで発生させる事が出来、非接触で殺菌できるので、公衆トイレなどに設置されているのを目にした事があるのでは無いでしょうか?
しかしC紫外線は強過ぎる為、近距離で目には入らない様に注意をしなければなりません。
★健康の増進
B紫外線が当たると、皮膚はビタミンDを体内で合成します。
このビタミンDは強い骨を作る働きがあり、骨軟化症などが起こり辛くなります。
その他にもカリウムやカルシウムの増加を促進し、免疫力が強い体質になり風邪が引きにくくなるとも言われています。
病人にも回復力が高くなるので良いと言われています。
またA紫外線は細胞活動を活発にする為、新陳代謝が促進され、気分を高揚させるホルモンであるセロトニンの分泌が増える一方で、気分を憂鬱にさせるホルモンであるメラトニンの分泌を抑制してくれるので精神的にも良い作用があるのです。
★日焼け
A紫外線を受けた肌は身体を保護する為にメラニン色素を生成し、そのメラニン色素で肌が黒く見える様になり、いわゆる『日焼け』が起きます。
メラニン色素の生成には時間がかかるので、当たってからしばらくしないと肌は黒くなりません。
日焼けをすると、一般的に日焼けに強くなる傾向がありますが、過度の日焼けをしてしまうと体は衰弱したり、肌の老化を招くので注意する必要があります。
波長の短いB紫外線は皮膚の奥まで届いてしまうので、細胞を傷つけ赤く肌を腫らしてしまうので要注意です。
その為、人工の日焼けマシーンは有用なA紫外線だけを照射するようになっています。
この様に、特にA紫外線は私達の生活に貢献してくれています。
波長が短くて強いC紫外線も、注意をしなければなりませんが、やはり貢献してくれているのです。
よく『お日様に当たりなさい 』とか『日焼けをしている人は健康(的)』と言われますが、実はこの様に科学的根拠があったのですね。
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